
つい先日の歯医者にっとて鑑別が難しい診断のお話をします。

レントゲンでは、異常は見られず、歯周病の検査値も問題はありません。
このようなケースの原因ででよくあるのが「歯ぎしり」などの嚙み合わせによるものです。
しかし、この患者さんには、歯を見ても歯ぎしりなどの嚙み合わせの異常も見られません。

では、この痛みの原因は?
よく見ると、右の唇にわずかですが湿疹のようなものが出来ています。
このような場合、ヘルペスが疑われます。
神経がウイルスに感染するとその支配領域の感覚に異常をきたします。
上顎神経が感染した場合は、ヘルペス性の痛みが歯の痛みとして感じることがあります。
診断を誤ると、訴えの歯の治療をしてしまい、治療したにもかかわらず痛みが変わらずということもあります。

ヘルペスの重症例では、入院を要することもあり歯医者としては慎重な診断が要求されます。
今回は、抗ウイルス剤が功を奏し軽快しました。
蔵前・浅草橋ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘