
この様な経験をされた方は多いかと思います。
しみる位なら神経を取ってしまえば・・・とお話しされる患者さんもいます。

でも、神経はやむを得ない状態を除いては取ってはならないものなのです。
神経が無いから歯は痛くならないなどという事はなく、神経を取った歯は根尖性歯周炎といって顎の骨の中に膿がたまる病気にかかる事もあり、この病気にかかると抜歯しなければならない事もあるのと、
血流を介してこのばい菌が全身に回り思わぬことに。。。なんてこともあるのです。

したがって、治療後にしみることがあっても持続的な激痛でない限りは様子を見るべきと私は思います。

ここからは、私自身の虫歯治療を受けた経験のお話です。
歯科大の学生時代5年生の時(歯科大は6年制です)から自身で左下奥歯にフロスをすると痛みがあり、勉強が忙しかったため...

そのまま放置していました。お恥ずかしい話です。。。国家試験も合格し、就職した医院で気になっていた歯の治療を受けることになりました。
かれこれ2年近く放置していたため、神経のすぐそばまで虫歯が進行していました。25年前の事ですがとても後悔しています。
というのも私の場合、金属の詰め物をした治療の後からしみるだけではなく、当日は何もしなくても痛く、歯磨き後のうがいもままならないといった具合で、痛み止めを飲む日が数日続いていました。
一週間目でやっと痛みから解放されました。
仲間の先生からは「神経が死んじゃったんじゃないの・・・」と言われましたが、しみるので「神経は生きている!」と我慢する事にしました。
しみる感覚は2年間ほど続きとても不快でした。我慢した甲斐あり、その歯は今も無事神経を取らないで機能しています。これは、私が歯医者であるからこそ当時我慢したのかもしれません。自慢する事ではありませんが・・・

本題に入りますが、なぜ治療が終わったのにしみるのでしょう

最近、他院で治療済でほんの小さい詰め物が入っている歯が、冷たいものと甘いものがしみるとお見えになった患者さんがおられました。レントゲンでもとくに異常はなく治療内容もこれと言って問題ないように見受けました。
これについては、「動水力学説」が有力視されています。これは、知覚過敏も同じ原理から発症すると考えられています。
エナメル質が歯の表層部で一番硬く、歯の鎧の役割をして歯を守っています。しかし、虫歯などでその下部の象牙質が露出するとしみる様になります。
しかし、象牙質には神経線維はありません!
では、なぜしみるのでしょう?
象牙質内には、象牙細管いう髄液で満たされた部分があり、温度差などの外部刺激により髄液が移動することで神経が刺激されてしみると考えられています。
これを「動水力学説」といいます。知覚過敏も噛みあわせ(歯ぎしりや食いしばりなど)により、歯と歯茎の境目のエナメル質が剥がれ象牙質が露出すると同じメカニズムでしみると考えられています。
では、患者さんにしてみれば一番気になるところですが・・・しみるのは治るの!!ということですが
残念ながらその歯の神経の機能によって様々ですので、治る場合もあればそうでない場合もあるという答えになります。

また、知覚過敏については、薬で象牙細管の入り口をふさいだりすることで対処しますが十分な効果が出ない事もあり、
マウスガードで噛みあわせの負担を軽減しながら経過を見る事もあります。
他には、レーザー治療が功を奏することがあります。
歯の神経は、出来る限り残す治療が望ましいです!

蔵前 ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘
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