平成が令和に変わり新しい時代が始まりました。
そこで、改めて「歯科治療で変化したことは何か」を考えてみました。
インプラントなどの先端治療は周知のとおりですが、個人的に一番変わったのは「予防歯科」ではないかと思います。
私が歯科大を卒業したのが平成2年ですので、ほぼ平成と同時に歯科医師人生をスタートしたことになります。
平成2年当時は「歯医者は、痛くなったら行くところ」でフッ素塗布や歯石除去のためだけに来院される患者さんは、私が勤務した歯科医院では、ほぼいなかったように記憶しています。
「歯石がついているのでとりましょう!」と患者さんにお話ししたところ、「歯石をとりに来たわけではないので、虫歯だけ治して下さい。」と言われることもありました。
今では、考えられませんが・・・・
私が開業した平成8年頃になりますと、少数ではありますが「お子さんであればフッ素塗布」「大人であれば定期的な歯のクリーニング」と来院される方がありました。
現在では、「フッ素塗布」「定期健診」は、当たり前となり多くの患者さんがお見え人るようになりました。それに伴い、患者さんのお口の中も大きく変わり、30年前では、考えられないほど虫歯の数も減り、入れ歯になっている方も少なくなりました。当時、珍しかった8020(80歳で20本の歯がある)の達成者は、自院のある台東区では50%超となっています。
次に「予防といえる??」なお話です。
今では、歯科医同士でもほとんど使われなくなったと思われる文言に「予防拡大」なるものがあります。
皆さん、「なんだと思いますか?」
「予防を世に広めること?それは良いことかな・・・」と思われるかもしれませんが
「予防拡大」とは、歯の溝にできた虫歯は、小さくても溝全体に広がってしまう可能性があるので「予め虫歯になっていない歯の溝を含め削って詰める」治療です。
例えは適当ではないかもしれませんが、「江戸時代の火消が火事が広がってしまうといけないので、火事が起きた周りの家を壊した。」みたいなものです。
「予防」は「予防」でもずいぶん違います。
今では、「できるだけ健全な歯質は残し虫歯部分を必要最小限削る」治療が主流になっています。
そして、昭和の時代では、「虫歯はできてしまったら必ず進むので早く見つけて治療をする」→「早期発見、早期治療」が当たり前でしたが、現在では、口腔衛生環境を整えれば初期虫歯は進まないことが多く、また、再石灰化により元に戻ることがあるため「早期発見、早期予防」の時代となっています。
削った歯は、二度と元に戻りませんが、初期虫歯は、元に戻る可能性があります。
「予防に勝る治療は無い」と考えています。
蔵前ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘