「徐々に食べられなくなって困っています・・・自分の歯があるのに食べられません」と緊急の訪問依頼の電話です。
歯があるのに食べられない? みなさん、どのようなことが原因と思いますか?・・・歯が痛いから?ではありません。
ここからは、健康な人には想像がつかないお話になります。
早速、ご自宅に伺い食事観察です。
この患者さんは、口の中に食べ物を入れ噛もうとするのですが口からこぼれ、飲み込みもままならず鼻から水分が出ています。
健康な人の嚥下では、舌が挙上し、上あごに着くと同時に鼻と口の通路がふさがり行われlます。この患者さんの場合、基礎疾患により舌の挙上が不十分と合わせて口唇がうまく閉じておらず飲み込めていませんでした。
わかりやすく例えると、自転車のペダルを踏んでいるが空回りして前に進まないような状態です。
幸い口唇は、意識をすれば閉じることができたので、舌の挙上ができれば飲み込めると診断しましたが、基礎疾患がありますので舌の挙上は容易ではありません。
そこで「舌接触補助床」(上あごに乗せる合成樹脂で作られたシート状の装置)を作成することとしました。
この装置の機能は、舌が挙上できない分、上あご部に人工的に材料をのせて、そこに舌が接触することで嚥下をサポートします。
嚥下障害は、歯科治療分野の一つです。お困りの方は、かかりつけの歯医者に相談するとよい答えが見つかるかもしれません。
医療法人社団医康会 ジェイエムビル歯科医院
野﨑康弘