「食べる量が減ってしまい、かなり痩せてしまった利用者さんがいるので見てほしい」とあるケアマネージャーさんからの相談です。
患者さんは、ご高齢で脳梗塞の既往があり通院が難しい方です。
まず、ご自宅に訪問させていただき、状態の確認をしました。
入れ歯が破損していましたが、即日修理で対応ができましたので一安心です。
私の場合、訪問診療で治療を終えた後、よく行うのが食事のテストです。
実際に食事風景を見させていただき、上手く食べる事ができるかの確認をします。
この患者さんの場合、見た目はうまく咀嚼しているように見えるのですが、ほぼ顎が上下にしか動いておらず、横の動きがわずかしかありませんでした。
この場合、、噛んではいるものの、食べ物は左右にばらけてしまい、なかなか飲むことができなくなり溜め込みが起こります。
次に、舌の動きを確認します。
舌を前方に突き出してもらい(あかんべー状態)左右に動かすように指示をしますが、右には動くのですが、左にはあまり動きません。
これも、食物をお口の中で左右に移動することができず溜め込みの原因になります。
この状態では、嚥下の前の食塊(飲み込む前の食べ物が一塊になった状態)の形成ができませんので、飲み込むこともままなりません。
このように口腔機能が低下している場合、いかに良い入れ歯を入れようとも、上手く食べる事はできません。
患者さんのご家族には、お口の機能訓練(口腔リハビリ)が必要であることお話しさせていただきました。
私たち歯医者は、上手く食べる事が出来ない原因が、入れ歯にあるのか口腔機能にあるのか判断できなければなりません。
蔵前ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘