先日、保健所で高齢者を対象とした口腔機能の維持向上のための講演会でお話をさせていただく機会がありました。
その中で「口の乾きがありますか?」の私の質問に対して、出席者の半数以上が「常に口の乾きを感じる」との答えでした。
ドライマウス(口腔乾燥症)になると、通常、1日に1リットル~1.5リットル分泌されなければならない唾液量が半分以下になるといわれています。
では、唾液が減るとどの様な事が起こるで可能性があるのでしょう
・お口の中のばい菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病になりやすい。誤嚥性肺炎になりやすい。
・舌が痛くなる(舌痛症)。
・頬の内側の粘膜が痛くなる。
・食べ物が飲み込みずらくなる。
・食べ物の味が分かりにくくなる(味覚障害)。
※唾液の働きについての面白いテストがります。これは、唾液が出ないと食べ物の味をほとんど感じない事を確認するための方法です。
1、「まず、小さじ三分の一程度の塩とペーパータオル(できればキッチンペーパー)を用意し下さい。」
2、「次に、舌の周りの唾液を取り除くため、舌をアカンベー状態に前方に突出しペーパータオルを巻きつけ30秒程
そのままにして、舌の水分を取り除きます。」
3、「ペーパータオルを取り除き、舌は、そのまま引っ込めずに用意した塩を舌の上にのせます。」
ここでは、個人差はありますが塩味は、ほとんど感じないと思います。
4、「次に、そのまま舌を口の中に戻し唾液と塩を混ぜて下さい。」ここで初めて強烈な塩味を感じようになります。
このテストは、唾液と塩が混ざってはじめて塩味を感じ取れるというものです。
例えば、「料理を作り自分では塩味をかなり抑えた筈なのに、家族にかなりしょっぱいと言われたり、外食をしたが、味がないので醤油をいっぱいかけてしまったり」
などもドライマウスの傾向かもしれません。
尚、このテストは、高血圧の方やお子様は、行わないでください。
ドライマウスの原因
・加齢
・糖尿病
・腎臓病
・シェーグレン症候群
・薬(降圧剤、利尿剤、鎮痛剤、精神安定剤など)の副作用
特に、介護が必要なお年寄りは、色々な薬を服用していることが多く、口の中が乾燥することが多くなります。
唾液量が減少すると、唾液の重要な働きである「体の中に入り込むばい菌に対する抗菌作用」が失われ、肺炎などの色々な病気にかかりやすくなりますので、介護する方は、注意してお口の中を見ることが大切です。
「自分で口の中を見るのは抵抗がある」というかたは、最寄りの歯医者(訪問による口腔ケアを行っている歯科医院)・地区歯科医師会・口腔ケアセンター・役所に問い合わせるとアドバイスが受けられます。
ドライマウスは、口腔ケアでお口の中を刺激することでかなり改善しますので、訪問歯科による口腔ケアをおすすめします。また、口腔保湿剤などの使用も歯科医師・歯科衛生士の適切な指導のもとでの使用が望ましいです。
お口の体操やマッサージを行うことでも唾液は、出るようになりますので、こちらも歯医者の指導のもと行うと良いかと思います。
唾液は、多くの病気を防ぎます!
医院の詳細は、こちらです。
蔵前 ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘
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