
一本の電話がありました。
数年前に入れた差し歯で食事中に鳥の軟骨の固い部分を噛んだそうです。
翌日、来院いただきレントゲンを撮ると見事に歯根が折れている状態です。

この場合、抜歯に至るケースがほとんどですが、折れどころによっては助かる場合があります。
まず、差し歯は外さなければならないので、抜歯の可能性が高いことを患者さんにご了承いただき、差し歯とともに折れた歯の破片を麻酔下にて除去し確認しました。
かなり厳しい状況でしたが、「何とか抜かないで治療を・・・」とのことですので歯周外科を行い残すことになりました。
予後に不安はありますが、何とか新しい歯の型どりまで現在治療が進んでいる状態です。
折れてしまった歯を残すことについては、歯医者の意見は賛否があると思いますが、可能な限り患者さんの希望を取り入れるべきと思います。

ちなみにこの患者さんは、他院では、抜歯→インプラントを勧められたそうです。
もし、患者さんが将来的にインプラントを希望されているのであれば、早目に抜いた方がインプラント治療を行うには良い条件が残せるとは思いますが・・・
「患者さんにとって最善の治療とは何か」考えさせられる症例でした。
私は、最高の治療がその人にとって最善の治療とは限らないと考えております。

蔵前・浅草橋ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘