皆さんは「かかりつけの歯医者をお持ちですか?」
「かかりつけ」には色々な解釈があります。痛いときにすぐに見てくれる、定期検診で見てもらう、困ったときにすぐに在宅に来てくれるなどが、当てはまるかと思います。ご存知の方は少ないかと思いますが、平成28年4月に厚生労働省が制定した「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」というものがあります。患者さんにとっては、いつも見てもらっている「かかりつけ」と何が違うの?・・・となるかと思いますので簡単に説明します。
これまでの「削って詰める治療、時間があれば予防処置」という治療優先の歯科医療を改め、虫歯や歯周病にさせない、歯を失わないための継続的メインテナンスを行い、通院できなくなった患者さんへの訪問診療を行うこと。診療所には、AEDなどの救急蘇生機器や口腔外バキューム、基準を満たす滅菌器や感染防止可能な診察台の設置など厳しい施設基準をクリアし厚生労働省より認可された診療所をいいます。
全国の歯科医院で現段階では、認可を受けているのは1割弱となっているようです。
かつて、虫歯は出来てしまうと進んでしうと信じられている時代がありました。現在の予防治療が確立される前の話です。
私も大学を卒業する時は、そのように習った記憶があります。早期発見早期治療の時代で、少しでも歯が黒くなっていたら削って詰める時代がありました。
その結果何が起きたのでしょう?
詰めたものは人工物です、一生脱離せず経過するものは極めて少なく、脱離や二次虫歯(詰め物の周りからできる虫歯)が起こり、繰り返し同じ箇所を治療することも珍しくありませんでした。
虫歯になるには、その原因がありますので、その原因を解決しないで治療をしても、同じ箇所が悪くなるのは当然の結果かもしれません。
現在、私の医院では、初診時に緊急性のない場合は、予防のお話をさせていただき、早期に治療したほうが良いもの、予防で進まない可能性が高いものや、元に戻る可能性がある初期虫歯など経過観察で良いものと区分けをしています。将来、一本でも多くの歯を残すには欠かせないことと考えています。
予防に勝る治療は、ありません。
蔵前・浅草橋ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘