院長の歯科教室

2020.05.12更新

「徐々に食べられなくなって困っています・・・自分の歯があるのに食べられません」と緊急の訪問依頼の電話です。

歯があるのに食べられない? みなさん、どのようなことが原因と思いますか?・・・歯が痛いから?ではありません。

ここからは、健康な人には想像がつかないお話になります。

早速、ご自宅に伺い食事観察です。

この患者さんは、口の中に食べ物を入れ噛もうとするのですが口からこぼれ、飲み込みもままならず鼻から水分が出ています。

健康な人の嚥下では、舌が挙上し、上あごに着くと同時に鼻と口の通路がふさがり行われlます。この患者さんの場合、基礎疾患により舌の挙上が不十分と合わせて口唇がうまく閉じておらず飲み込めていませんでした。

わかりやすく例えると、自転車のペダルを踏んでいるが空回りして前に進まないような状態です。

幸い口唇は、意識をすれば閉じることができたので、舌の挙上ができれば飲み込めると診断しましたが、基礎疾患がありますので舌の挙上は容易ではありません。

そこで「舌接触補助床」(上あごに乗せる合成樹脂で作られたシート状の装置)を作成することとしました。

この装置の機能は、舌が挙上できない分、上あご部に人工的に材料をのせて、そこに舌が接触することで嚥下をサポートします。

嚥下障害は、歯科治療分野の一つです。お困りの方は、かかりつけの歯医者に相談するとよい答えが見つかるかもしれません。

 

 医療法人社団医康会 ジェイエムビル歯科医院

  野﨑康弘

 

 

 

 

 

投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2020.03.27更新

「入れた歯が3か月経つのですが調子が悪い・・・・」とセカンドオピニオンの患者さんがお見えになりました。

私「お口の中を拝見しますね」

患者さん「歯を入れてから何度か調整に行ったのですが、これで終わりといわれ・・・でも噛めないんです」namida

この患者さんはご高齢で娘さんに付き添われお見えになりました。入れ歯の不調の訴えです。

ここまでお読みになられた方は「多分、作った入れ歯が悪いのかな・・・」と思われる方がほとんどかもしれません。

実は入れ歯の不調は、口腔機能の低下によるものも多いのです。入れ歯に問題なくても噛めない、飲みにくいということがあります。

当然ですが、このケースでは入れ歯を調整しても不調は解決されませんので、口腔機能回復のためのリハビリが必要になります。

例えると、「杖を持っていても、歩く筋力がなければ使えない」ことと同じです。

娘さんにお聞きすると最近「お茶お飲むとむせる」「食べこぼしがふえた」「滑舌が悪い」とのことでした。これらは、口腔機能低下のサインです。

口腔機能低下に関する治療は、歯科の分野ですので気になる方は、かかりつけの歯医者に相談するとよいかと思います。

 

医療法人社団医康会ジェイエムビル歯科医院

野崎康弘

 

投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2020.01.22更新

最近、抜歯の時期を設定することが重要と考えるようになりました。

勿論、残せる歯を残すのは大切です。では、何故、抜き時期が重要と考えるようになったかといいますと、在宅療養の寝たきりの状態の患者さんの場合、無理に残した歯の炎症が全身状態の悪化につながることがるからです。

「抜くべき時に抜いておいてくれれば・・・こんなことにならないのに・・・」ということが訪問の場ではあるのです。

在宅療養の患者さんでは、抜歯する場合、医科の先生と連絡を取りながらの抜歯となり全身状態悪化の危惧から歯科単独で行うことはありません。

訪問先のとある病院の看護師さんが私に言った事があります「先生!残っている歯でこんなに苦しむのなら、わたし!年を取ったら歯を全部抜いてもらおうかなー・・・」

 

医療法人社団医康会 ジェイエムビル歯科医院

野崎康弘

投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2019.07.23更新

「食べる量が減ってしまい、かなり痩せてしまった利用者さんがいるので見てほしい」とあるケアマネージャーさんからの相談です。

患者さんは、ご高齢で脳梗塞の既往があり通院が難しい方です。

まず、ご自宅に訪問させていただき、状態の確認をしました。

入れ歯が破損していましたが、即日修理で対応ができましたので一安心です。

私の場合、訪問診療で治療を終えた後、よく行うのが食事のテストです。

実際に食事風景を見させていただき、上手く食べる事ができるかの確認をします。

この患者さんの場合、見た目はうまく咀嚼しているように見えるのですが、ほぼ顎が上下にしか動いておらず、横の動きがわずかしかありませんでした。

この場合、、噛んではいるものの、食べ物は左右にばらけてしまい、なかなか飲むことができなくなり溜め込みが起こります。

次に、舌の動きを確認します。

舌を前方に突き出してもらい(あかんべー状態)左右に動かすように指示をしますが、右には動くのですが、左にはあまり動きません。

これも、食物をお口の中で左右に移動することができず溜め込みの原因になります。

この状態では、嚥下の前の食塊(飲み込む前の食べ物が一塊になった状態)の形成ができませんので、飲み込むこともままなりません。

このように口腔機能が低下している場合、いかに良い入れ歯を入れようとも、上手く食べる事はできません。

患者さんのご家族には、お口の機能訓練(口腔リハビリ)が必要であることお話しさせていただきました。

私たち歯医者は、上手く食べる事が出来ない原因が、入れ歯にあるのか口腔機能にあるのか判断できなければなりません。clover

蔵前ジェイエムビル歯科医院

院長 野崎康弘

 

投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2019.01.22更新

猛威を振るうインフルエンザ・・・皆さんは、大丈夫でしょうか?abon

ご覧になった方もいると思いますが、朝のTV番組でインフルエンザの予防について内科医師がコメントしていました。

MC「インフルエンザの患者さんを診察しているのに、何故、先生は感染しないんですか?」

DR「診察時にマスクをすること、こまめに交換すること・・・一日10枚くらい変えます!そして、手洗いの励行です。」

MC「診察時以外で普段気をつけていることは?」

DR「ドアノブや取っ手を指先でなるべく触らない、電気のスイッチは、指先で触らないで、指の関節を使ってON・OFFすをする。多くの人が触るところはウイルスが多いんです。指先で触ってしまったら、手を洗います。」

MC「そこまでするのですね!私は、普段のマスク、帰宅時のうがいくらいかな…あとは予防接種!」

DR「うがいは大事です!感染の経路は口腔ですから歯磨きも大切です!私は、一日5回磨きます!」

 

このようなやり取りがありました。

また、この医師のコメントの中に「老人福祉施設で口腔ケアを励行したところ、約30%のインフルエンザの罹患率の減少が見られた(何回磨くかは話していませんでした)」と口腔ケアの重要性についてのものがありました。

個人的な感想ですが、歯科医師以外のDRがTVで口腔ケアの重要性を話すのは珍しく思いましたので、今回「院長の歯科教室」に書かせていただきました。

 

では、歯医者的な視点からのインフルエンザ予防を考えてみました。

・「ブクブクうがい」→「ガラガラうがい」の順でうがいする。いきなりガラガラうがいをすると口腔内のウイルスをのどに入れてしまう事になるためです。これは、誤嚥性肺炎防止対策としても有効です。

・インフルエンザの流行時期前に大きな虫歯の治療は、終えておく。虫歯の穴の中は、ウイルスの住処になりやすいと考えます。

上記は、あくまでも私見です。

 

口腔ケアも「インフルエンザの予防」に一役ですclover

蔵前ジェイエムビル歯科医院

院長 野崎康弘

 

投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2017.06.15更新

歯磨きは、何のためにするのでしょう?

「虫歯にならないために決まってるじゃないか!」言われそうですが
今回は、違った視点からの歯磨きについてお話ししますear

普段、何気なく行っている歯磨きですが、お口の中に刺激を加えることで
歯や歯茎が綺麗になるだけでなくいろいろな効果があります。

実際に私が経験した例ですが、

とある在宅療養の患者さんで全身疾患とともに認知症が進み
ご自身で歯磨きは全くできない状態で、食事も食べなくなってしまった・・・どこか歯が痛いのでは?
とのことで依頼を受けご自宅に伺いました。

お口の中を拝察すると、歯茎からは少し触れるだけで出血があり、口の中は舌や頬粘膜にカビ発生している状況でした。
ご家族は、患者さんの口の中は、怖くて触れないということで、退院後、約3か月口腔ケアは行っていないとのことでした。happy02

まず、口腔ケアセンターの衛生士とともに週一回の口腔ケアとご家族へのケア指導をさせていただき口腔環境の改善を行いしました。
約1か月が経過したころから、ご家族の協力もあり、歯茎からの出血も治まって来ました。

そして、驚くことに、お昼ご飯時にお邪魔すると、介助は必要なもののしかり食事ができるようになっていました。
そして、初めてお会いした時は、ほぼ無表情であったのが、今では、笑顔も見せてくれるほどになりました。


治療といえば・・・歯磨きをしただけなのです!

このことは、健康な人にも当てはまるように思います。
歯磨きをよく行い、定期メインテナンスにみえる方は、痛いときだけ治療にみえる方に比べ、元気に見えます。

先日、朝のテレビ番組で誤嚥性肺炎について特集がありました。その中で歯磨きをしないで寝てしまった場合の肺炎の危険度などが挙げられていました。

誤嚥性肺炎は、高齢者にとっては、命取りになります。

いかがでしょう?歯磨きの大切さをご理解いただけますと幸いです。

口腔ケアは、命をつなぎます!clover

蔵前・浅草橋ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘



投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2016.10.19更新

東京都歯科医師認知症対応能力向上研修(厚労省制定)を修了しました。

研修を通じて、今後さらに進む高齢化社会への歯科医としての対応の強化が必要であると認識することとなりました。

私自身、現在、老人ホームや在宅での治療を通じ、多くの患者さんやそのご家族と接する機会があります。

認知症の治療では、施設の職員の方々やご家族の協力が不可欠です。

毎日、その方と接しており、その方の行動や最近の情緒変化を知っておられるからです。

まず、治療の前に情報をいただきます。

私がいつも思うことですが、症状の進んだ認知症の患者さんの多くは「心開かねば、口は開かず」ですので、治療前の情報がとても大事になります。

国の政策として認知症へのアプローチが急務であるとの判断から現在では、全国的に研修会が行われています。

では、現在、認知症の方は、どの位いるのでしょうか?

なんと約462万人予備軍が400万人ですので合計約862万人となります。

少々分かりにくいので他の疾患と比較します。

糖尿病900万人
高血圧800万人
骨粗鬆症170万人
白内障160万人
心疾患80万人
大腸がん24万人
胃がん21万人
乳がん18万人
(2012年厚労省調査)

65歳以上年齢別人口に対する割合では

65~69歳で2.9% 
70~74  4.1%
75~79  13.6%
80~84  21.8%
85~89  41.4%
90~94  61.0%
95~   79.5%
(2013年厚労省推計)

そして認知症患者さんの70%近くは、在宅にいるという調査結果があります(東京都福祉局調査2008年)ので、在宅での医科・歯科・薬科・介護職などとの連携が不可欠となり、ご家族を支えることが必要となります。

今後も認知症の対応は積極的に行います。clover

蔵前・浅草橋ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘


投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2016.06.09更新

高齢化社会といわれ久しくたちますが
我が国の高齢化率は、現在も伸びています。

医療の進歩の賜なのですが、問題は、「健康寿命」と「生涯寿命」の差が約10年あるということです

言い換えると、床に伏した状態でその年月を過ごさなければならないということです。

介護予防を歯科の観点から考えて見たいと思います。

介護予防とは、介護状態にならないよう日頃から予防をすることです。

歯の予防で皆さんご存知の「歯磨き」が介護予防に有効です。eye

「歯磨き」が介護予防と何の関係が?と思われるかもしれませんが・・・

実は、10年以上前からの介護予防に口腔ケアが重要な役割があることが分かっています。

お口の中を刺激することで、認知機能低下の予防や咀嚼機能低下を防止できる可能性があります。

ある地区の老人ホームで口腔ケアの専門家が介入し、口腔ケアと口腔体操を行ったところ肺炎の発症率が激減した事実があります。

ご存知の方も多いかもしれませんが、死因の第三位は肺炎です。そのうち約半数がお口の中の汚れが原因の誤嚥性肺炎であると言われています。

誤嚥性肺炎の原因には、どのようなことが挙げられるのでしょう?ear

一つは、不十分な口腔ケアです。

ご高齢になると色々な病気が原因で手が不自由になったりお口の動きが悪くなったりする場合があります。

また、慢性的な膝や腰の痛みから動くのが億劫になり、長年の習慣であった歯磨きが疎かになることも珍しくありません。

そして、在宅で寝たきりの方では、数か月間歯磨きなどの口腔ケアをしていないケースも見られます。

もう一つは、嚥下機能の低下です。

食べ物をむせてしまい飲み込めないない。食後しばらくしてからせき込んでしまう。その他にも色々なサインがあります。

こうした方には、お口のリハビリが有効です。

体のリハビリが介護予防に大切なのは知られていますが、お口のリハビリもとても大事です。

あまり知られていないかもしれませんが大学病院にも口腔リハビリテーション科があります。

現在、台東区では、三ノ輪口腔ケアセンターが在宅相談や介護予防相談の窓口になっています。

当院も連携していますのでお困りの方は、ご相談下さい。

お口のリハビリで介護予防!clover


蔵前・浅草橋ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘

投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2015.05.13更新

歯が一本ぐらい抜けたって不自由ないし、このままでも問題ない!
という方は、意外と多いのではないのでしょうかsign02

では、何故、きちんと歯を入れなければならないのでしょうear




歯が抜けたままの状態を放置しますと、噛みあわせのズレなどによる色々な心身機能の低下が起きる可能性があります。impact

確かに、一本くらい歯が無くても食事は出来るかもしれません。sweat01

しかし、長年この状態を放置するのは、歯医者としては、問題が大きいと考えます。

イギリスの疫学・公衆衛生学を専門とするジョージオス・ツァコス博士の研究に興味深いものがあります。eye

ツァコス氏は、歯の喪失がもたらす心身の影響を見極めるため、イギリスで60歳以上の被験者3,166人を10年間にわたり追跡調査をした。

調査は、実に簡単なもので、認知能力を調べる実験では、まず10個の単語を聞いてもらい、すべてをすぐに思い出せるかどうかをテストした。そして、10分後、再テストすると知らせずに、再度同じ単語セットを記憶想起してもらった。

運動能力を調べるためには、ある定めた距離を二回歩いてもらい、被験者のスピードを計算した。この結果、精神状態などのバイオマーカーを考慮した分析において、天然歯が残っている人の方が、全ての歯を失っている人より心身機能が10%ほど上回っていることが分かった。というものです。

歯が無いのを放置しますと、歯が無い部分に隣の歯が移動したり、相対する歯が伸びあがってしまったりします。

これにより、自分では気が付きにくいかもしれませんが、正しい噛むサイクルがずれ、顎の関節に障害をもたらしたり、

全身状態としては、頭痛や腰痛・肩こりなどの症状が出ることもあり、体調不良に陥る事もあります。danger

また、運動機能という点では、スポーツ選手が噛みあわせにこだわる事は、周知のとおりです。(元ヤンキースの日本人メジャーリーガーM井さんのような例外もありますが・・・)

私の訪問診療の経験では、老人ホームに入居されているご高齢の方では、歯の有るかたより無い方の方が認知症の頻度は、高いように思います。eye


健康を守るため、歯が無くなってしまった場合は、新しい歯を入れるための治療が必要です。clover

ジェイエムビル歯科医院
院長 野崎康弘

医院案内は、こちらです。

投稿者: ジェイエムビル歯科医院

2015.02.23更新


自院での在宅訪問診療の際にケアマネージャーさんにいただいたお手紙です。

訪問診療では、医科の先生・看護師さん・ケアマネさんほか介護職員さん・栄養士さんとの連携が不可欠です。

可能な限り普段の生活を知る事が治療の成功へとつながります。


在宅や施設でお困りの方は、歯科医師会または口腔ケアセンター、区役所で相談が出来ます。

お困りのことがありましたら当院でも相談が可能です。clover

蔵前 ジェイエムビル歯科医院
   院長 野崎康弘

医院案内は、こちらです。

投稿者: ジェイエムビル歯科医院

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